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2008.06.16

ハーグ子奪取条約批准への動き

日弁連の6月13日付「日弁連 - 国連人権理事会本会議におけるUPR審査に対する日本政府の対応についての日弁連コメント」によると,日本政府は,国連人権理事会の勧告を受けて,ハーグ子奪取条約の批准を行う旨の表明をしたとのこと。
いずれ日本が上記ハーグ条約を批准する日が来そうです。
さてそうなると,国際離婚の破綻に伴って子を連れ帰った場合,それが親権者の権利を侵害したと見做されるときには子を元の居住国に戻す手続が定められることになるはずです。この場合「親権者の権利」と「子の福祉」とでは,文句なく後者が優先すると私は思っていますが,果たしてどうなるでしょうか?

婚姻の破綻に伴って子を国に連れて帰るのは,みなそれぞれの事情のもとで思い詰めた結果であることが多く,単純に子どもを連れ帰ったことをもってして「奪取」「誘拐」などとは非難できないケースが大半です。

ハーグ子奪取条約の批准と同時に,弱者である子ども・女性の保護を徹底すべきであり,そうでなければむしろ批准しない方がいいくらいだと私は考えています。

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婚外子の国籍取得の届出について

最高裁の違憲判決の後,14日までの間に,婚外子の国籍取得届出は3件ほどあった,という報道がなされているようです(「婚外子」の国籍取得、最高裁判決後に届け出が3件(読売新聞) - Yahoo!ニュース)。
当事務所では6月4日の違憲判決の直前に,女性の待婚期間中(いわゆる300日規定)のため,日本での婚姻届ができず,子が前婚の夫の子の嫡出子推定を受けてしまうケースを扱いました。そして,わずか10日間だけ区切って数を公表することにどんな意味があるのか,という疑問もあります。

それと同時に,届出は住所を管轄する「法務局」に提出する必要がありますが,法務局なんてどこにあるかさえ知らない,という人もあるのでは?また,婚外子を生物学上の父に認知してもらうことが難しいケースもあるでしょうから,その場合には認知を求める手続が必要になります。いずれにせよ,認知による国籍取得には20歳未満という条件があります。なるべく早く,国籍問題に詳しい専門家にご相談することをお勧めします。

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2008.06.13

国際離婚の管轄に関する EU の新規則案

asahi.com の記事によれば,EU では域内の国際離婚の裁判管轄についての新規則案が採択される見通しとのこと。

現在は大別して2人の出身国、現居住国、主に結婚生活を送った国——のいずれかの離婚法が適用され、国籍が違う夫婦が離婚するとき「どこに申し立てすべきかわからない」「時間と手間が予測できない」などの不満が出ていた。
新規則案は「2人が合意した国の法律」を原則に、合意がない場合は「2人に最も関係のある国」の法律を用いることにした。

日本の裁判所が採っている被告住所地主義を採らず,EU の新規則案では,合意管轄と密接関係地の管轄権を認めている点が注目されます。実は当事務所でも国際離婚の相談はここ1,2年で急激に増えています。昭和39年の最高裁判例以来,被告住所地主義(被告の住所地の国に国際裁判管轄がある)が採用されてきましたが,当時は国際離婚といっても日本人と在日朝鮮人との離婚が大多数であったでしょうが,今は全く事情が違っています。当事務所でも欧州,米国やもちろん,中東,アジア・大洋州諸国など,実にさまざまな国籍の方々に関する相談があります。
これからの日本での国際離婚の実務の動向を考える上でも,EU の新規則案は注目に値すると思います。

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2008.06.05

国籍法違憲判決(その2)

国籍確認請求事件判決
裁判所ホームページに判決文が掲載されています。

ちなみに,昨日のエントリーで私が書いた,認知の遡及効との関連性について,田原睦夫裁判官が補足意見の中で触れていますが,法的安定性という観点から国籍の遡及的取得という考えには消極的な意見のようです。
ところで,上記田原裁判官の補足意見は,義務教育や社会保障が外国人に及んでおらず,運用上日本国民に準じた取扱がなされているに過ぎないことを指摘しています。逆説的に言えば,国籍の有無が直ちにそのような教育を受ける権利や社会保障を受ける権利の有無に直接に結びつかなかったとしたら,国籍がいわば人の「氏」のような存在に過ぎなかったとしたら,それは単に人を区別するものに過ぎず平等原則違反の問題は生じなかった,ということが言えます。
そうすると,国籍取得の幅を広げることは(もちろん積極的に評価すべきですが),実は根本的な問題解決にはなっていないのではないのではないか,という問題意識を持たざるを得ません。

さて,国側が国籍の取得のために父母の婚姻が必要であるとしていた理屈として,「仮装認知」という問題が挙げられています。確かに「ためにする」認知はあり得ますし,それをどう扱うか,という問題は避けて通ることはできません。とくに認知の場合,婚姻の場合と異なって,誰がどのような目的で認知したとしても,認知された子には何の責任もありませんから,そう簡単に無効というわけにはいきません(民法785条は認知の取消を禁じています)。
あるいはこの問題も,国籍の有無で大きく取扱が異なるという現状を変えて,国籍取得へのインセンティブを減ずることによってしか解決しないのではないか,という気がしています。

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2008.06.04

国籍法違憲判決

本日,国籍法3条の規定について,最高裁は違憲の判断を下したとのことです(参照:「婚外子 国籍法規定は違憲 国に法改正迫る 最高裁大法廷判決」MSN産経ニュース)。
詳細は判決文を見て機会があれば論評しますが,そもそも国籍法2条は出生の時に父又は母が日本国民である,あるいは出生前に死亡した父が死亡時に日本国民であれば,子は出生により当然に日本国籍を取得する(血統主義)としている以上,本来であれば,出生後に父が認知して父子関係が生じた時には,出生時に遡って認知の効力は及ぶ(民法784条)のですから,子は,当然日本国籍を取得することになるはずであって,それにも関わらず国籍法3条が,準正子について国籍取得の届出を要求していることはそれ自体,血統主義の原則から大きく外れたものであったと言えます。(その意味で,今回の違憲判決を受けて国籍法3条を削除すれば,法改正としてはそれで十分なのではないかと私は思っていますが。)
さて,今回の判断により日本国籍を認められる人々は少なくはないはずですが,それらの方々の言語や民族文化を十分尊重しつつ,日本社会に受け入れる体制を整えていくことも,今後重要になっていくでしょう。

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