刑事罰の目的
今朝は台風もそうですが,Winny 事件の逆転無罪が大きな話題を呼んでいるようですので,雑感を少々。
私は,詳しい技術も内容も知らない門外漢ですが,本日の高裁判決は刑法理論をすっきりと筋を通しているように見え,好印象です。そもそも刑法は,すでに起きてしまった犯罪という結果に対して,個別に罰を科して犯罪者の矯正(再犯防止)を目指すもの。一罰百戒という言葉もあり,いわゆる一般予防(検察官は好きですね。論告でよく聞きます。)ということも良く言われますが,それを強調すると刑事法廷が立法の場に踏み込むことになってしまう。新しい類型の行為を,従来から存在する犯罪の類型に組み入れて裁くことで一罰百戒,を目的とした強制捜査( Winny 事件に限らずときどき見かけるのですが)は,実は立法権の侵害であり,民主主義とは相容れないということを,捜査機関は肝に銘じてもらいたい。
そういう意味では,著作権侵害を防ぐということは無論大切だけれども,その先鋒を警察などの捜査機関に委ねるのは,刑法の目的を超えるだろうし,刑事手続による事後的個別的な刑罰の執行が,著作権の保護のために十分有効であるとも思えません。
いずれにせよ,ご本人も弁護団の諸氏もみごとな奮闘でした。心からの敬意を表します。

